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ドル一時1.5円を超える下げ、米スタグフレーション懸念も浮上

[東京 19日 ロイター] 午後3時過ぎのドル/円は、前日ニューヨーク市場の午後5時時点からドル安/円高が進み、99円台前半で取引されている。米連邦公開市場委員会(FOMC)後のドル買いが一巡した後はドルの上値が次第に重くなり、地すべり状態となったドルはきょうの高値から一時1.5円を超える下げを見せた。

 午後の市場では、欧州系ファンドの破たん懸念が浮上しているとのうわさや、欧州やアジアの金融機関が追加損失を計上するとの観測も流れるなど、ドル売り材料に事欠かない状況になった。

 米利下げ後も、市場では米景気に対する悲観的見方が強まっているもよう。

 「FOMCの声明文を読むと、インフレリスクに関する言及が長くなっており、経済活動の見通しが一段と弱まったとある。米当局は自らスタグフレーションの到来を予想しているようにも見える」(外為専門会社)との指摘も聞かれ、ドルの地合いは引き続き弱い。

 FOMCは18日、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を75ベーシスポイント(bp)引き下げ、2.25%とした。声明文は「インフレは高まっており、インフレ期待の一部指標は上昇した」と指摘、「インフレ見通しをめぐる不確実性は高まっている。インフレ動向を引き続き注意深く監視する必要がある」としている。

 ドル/円はFOMC後の上昇基調を東京時間の朝方までは維持し、100.45円まで上昇したが、その後は本邦輸出企業、アジア系ファンド、短期筋などさまざまな参加者の売りに押され、98.80円まで下落した。

 ユーロ/ドルは15時40分現在で、1.5693/95ドルの気配。英系金融機関の損失計上のうわさで、ユーロ/英ポンドが上昇し、0.77台後半から現在は0.78130ポンドまで上昇した。 

 <ドル安の大局観は変わらず>

 市場では、米金利が引き続き低下し、ドル安基調は変わらないとの見方が大勢を占める。

 三井住友銀行・市場営業部直物為替グループ長の高木晴久氏は「協調利下げや公的資金の投入などがないと、サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題をきっかけとするドル売りが続くという大局観は変わらない」と話している。

 ロイヤルバンク・オブ・スコットランドのヘッドオブFXストラテジー、山本雅文氏は米連邦準備理事会(FRB)が4月に0.5%、6月にも0.25%の追加利下げを実施すると予想。「金利面でドルが不利な状況は変わらない」と見る。 

 実需面でのドル安/円高圧力も見落とせない。

 ロイターが大企業400社を対象に実施した3月ロイター企業調査によると、4─6月期の為替予約を「全くしていない」との回答が66%を占めた。同調査では、2008年度の社内レート中央値はドル/円が108円、ユーロ/円が158円となった。

 水準は前年並みだが、市場では「個人投資家など円の売り手の存在感が薄れており、需給的にも輸出企業など円の買い手が注目されやすい。東京市場のドル/円反発時は上値が重くなるかもしれない」(外銀)との声が出ている。 

 <日銀総裁ポストの空席と日本の利下げ観測> 

 市場ではゴールドマン・サックス証券が、日銀が4月にも0.25%の利下げに踏み切るとの予想を打ち出したことが話題となっている。

 GSではその理由として1)国内景気の下振れリスクが米景気の変調もあり一段と増幅、2)急激な市場環境の変化により、長短金利と株価、実効円レートを基に算出する「金融環境」が大幅にタイト化、3)米連邦準備理事会(FRB)の追加利下げ予想、の3点を挙げている。「利下げのタイミングが最も想定しやすいのは、業況判断DIの大幅悪化が予想される3月短観(4月1日発表)の内容を確認した後、4月8―9日の決定会合」としている。

 一方で、日銀では、福井俊彦総裁の任期切れのきょう19日になっても新総裁が決まらず、日銀総裁のポストが戦後初めて空席となる事態が起きている。

 福田康夫首相の評価も悪くなってきているようだ。ある与党衆院議員は「日銀総裁を決める意志が見られない。財務省の言いなりで、愚かというしかない」と述べている。

 参院は19日の本会議で、政府が提示した日銀総裁と副総裁人事案のうち、田波耕治・国際協力銀行総裁の総裁就任を民主党などの反対多数で「不同意」とした。衆院は本会議で自民党、公明党などの賛成多数により「同意」を決めたが、参院の不同意で国会の意思は不同意となった。