還暦親父の暇つぶし

アーリーリタイアー夢実現すべくマレーシア移住、マレー株式投資、仮想通貨投資家などで外こもり中から帰国

【コラム】この先10年間に有望な投資先

【ボストン】専門家たちの相場予測を見る限り、2011年から2020年の向こう10年間は、株や債券に投資にするなら、むしろ宝くじを買った方が勝率は高そうだ。
 伝説のファンドマネジャー、ジェレミ・グランサム氏率いるGMO(グランサム・マヨ・バン・オッタール)の有能なファンドマネジャーたちは、この先7年間に年率4%を上回るリターンを出せるアセットクラスは、米国優良株4.9%、新興株4.1%、そして森林投資の6%と予測している。それ以外のアセットクラスは、せいぜい1%もリターンがでれば上等だ。
 GMOは、米国小型株は年間1.9%下落、外国小型株も1.4%下落、外国政府債は0.9% の下落、米国短期国債は0.2%下落するとみている。(ただし、今後7年間インフレが年率2.5%の前提)
 一般の投資家が森林投資を始めるには、いくつかの選択肢がある。レイオニア、サイノ-フォレスト、デルティック・ティンバー、プラム・クリーク・ティンバー、ウェアハウザー、インターナショナル・フォレスト・プロダクト、ウェスト・フレイザー・ティンバーなどだ。
要注意債券
 デュポン・ファミリーが1901年に創設したウィルミングトン・トラストも、向こう7年間、米国株は長期の平均リターン10%を大幅に下回り、2017年まで年率5.8%の伸びが続くと予想している。
 一方、外国株について、ウィルミングトンはGMOよりやや強気で、先進国株は6.6%の上昇、新興国株は7.2%と堅調に推移するものとみている。GMO同様、ウィルミングトンも債券投資は避けるべきとの考えだ。投資適格債券(課税扱い、非課税使扱いどちらも)は年間でわずか2.1%の上昇と予測している。(ウィルミングトン・トラストの予測はインフレ率1.5%を前提)
 つまり、ウィルミングトン・トラストは、資金を投資適格債券や非適格債券から、米国大型株、先進国株や新興国株へシフトすることを推奨している。
 同社は、「債券の価格が短期間に急降下して、多くの投資家が狼狽(ろうばい)するのではないかと懸念している」という。ウィルミングトンは、安定的な収入源を確保するには、債券投資の利子所得から「優良株の配当収入」ポートフォリオへシフトすることを勧めている。安定的に黒字で、負債率が適度な銘柄を選ぶことが望ましい。(ウィルミングトンの銘柄選定にヒットしない可能性もあるが、ここに条件を満たす銘柄として、エコペトロールとバリダス・ホールディングスの二つを挙げる。
 ウィルミングトンは、金利上昇局面のリスクヘッジを考えて、絶対収益やディレクショナル戦略など、ヘッジ投資戦略をしっかり取ることを勧めている。
新興国株:買い
 怖いものなしのブラックロック社の副会長兼ファンダメンタル株式チーフ・ストラテジスト、ロバート・ドール氏は、昨年8月に向こう10年間の相場見通しを発表したその中で、この先10年間の投資環境が1980年代や1990年代のような上昇局面を経験することは極めて難しいだろうとみている。同氏の「今後10年間の10の予測」によれば、この先10年間の米国株の年率リターンはせいぜい8%止まりで、2けた台に乗せることは難しい。その理由として、引き続きデレバレッジ(債務の圧縮)が進むことや重大な構造的問題を挙げている。
 GMOとウィルミングトンに並び、ドール氏も新興国―中国、インド、ブラジル、ロシア、メキシコ、インドネシア、トルコ—への投資を推奨している。プライス・ウォーターハウス・クーパーズのアナリストによれば、この7カ国を合わせると、現在のG7(米国、日本、ドイツ、英国、フランス、イタリア、カナダ)の経済規模を約50%上回る大きさになるという。
 つまり、ドール氏は投資家に、1)米国債と現金と比較して、株やそのほかの高リスク資産をオーバーウェイトにする 、2)先進国株のうち、米国株をオーバーウェイトにする、3)新興国株の投資機会に注目、4)ヘルスケア、情報テクノロジー、代替エネルギーなど好調な業種に投資することを薦めている。
ヘルスケア、テクノロジー、代替エネルギー
 ドール氏のレポートによれば、団塊世代の高齢化が進み、当然ヘルスケア支出が増える。この業種では、バイオテクノロジーの発展、患者のニーズ主導の調査、電子カルテが有望な分野だ。
 情報テクノロジーでは、新しいタイプのコンピューターやエンターテイメント・デバイスの急成長、マイクロプロセッサーの高速化と大容量化、クラウドコンピューティングなどの革新的技術、そして、もはや経済成長の原動力であるソーシャル・ネットワーキング(SNS)ツールなど、この業種のインパクトがより幅広くなった。
 ドール氏は、二酸化炭素(CO2)排出税の増税が代替エネルギー開発を促進すると述べた。「エネルギー革新の推進力は、石炭の減産など供給上の懸念、そして、世界の石油の大半が米国に非友好的な国々により支配されているという地政学的な危惧である」 (ドール氏の投資予測はここから/英文
 スタンダード&プアーズのチーフ・投資ストラテジストであるサム・ストバール氏に言わせれば、市場は平均回帰の動きを見せる。つまり、過去10年間の勝者は次の10年間の敗者になり、その逆もまた同じということだ。それが真実なら、米国中型株と小型株、新興国株、そして金には注意が必要だ。業種別には、エネルギー、素材は細心の注意を払い、続いて、一般消費財も用心したい。
 2011年から2020年の10年間は、ヘルスケアと公共事業が主役となり、エネルギーと素材は後部座席に座ることになりそうだ。1月18日現在、スタンダード&プアーズの格付けが最も高いヘルスケア企業は、セルジーン、ドクター・レディ、ライフテクノロジーズ、ベルテックス・ファーマスーティカル、 サーモフィッシャーサイエンティフィック、マイラン・ラボラトリーズ、エクスプレス・スクリプト、メドコ・ヘルス・ソリューションズ、そしてマッケッソン。スタンダード&プアーズの格付けが最も高い公共事業企業は、ITC ホールディングスとワンオーケーだった。
(ロバート・パウェルは、パーソナル・ファイナンス分野の記者歴20年以上。ウォール・ストリート・ジャーナルを筆頭に、ファイナンシャル・タイムズやミューチャル・ファンド・マーケット・ニュースなどで執筆や編集業務に携わる)