還暦親父の暇つぶし

アーリーリタイアー夢実現すべくマレーシア移住、マレー株式投資、仮想通貨投資家などで外こもり中から帰国

ドル安/株安加速させたヘッジファンド危機、換金売り警戒高まる

[東京 13日 ロイター] 13日の東京市場は、ヘッジファンドの資金繰り懸念が台頭したことをきっかけに欧米市場の信用収縮懸念が再燃し、日経平均は一時500円を超す下落となった。またドル/円は一時100円を割り込み、1995年11月以来となる12年4カ月ぶりのドル安/円高水準をつけた。

 市場では、ヘッジファンドの換金売りへの警戒感が強まり、流動性の豊富な商品への資金シフトも目立ち、海外勢の動向を受けて振れやすい展開となった。市場では、米当局が米金融機関への公的資金注入を決断するまで、株売り/ドル売りが継続するとの見通しが広がっている。

 13日の日経平均は、午後になって下げ幅を拡大。結局、終値でも昨年来安値を更新して引けた。午後の市場では、英タイムズ紙が13日付の記事で複数のヘッジファンドが破たんの瀬戸際に追い込まれたか、あるいは解約を停止したと報道し、下げ幅が拡大した。市場では「ここ数日、ヘッジファンドの換金売りが目立っており、タイムズ紙の報道は、市場の地合い悪化を加速させた」(国内証券)との見方が浮上。昼休みに「バスケット取引で2450億円の売りが出て、海外ファンドの閉鎖に伴う動きではないかとの警戒感が強まった」(別の国内証券)という。

 大和住銀投信投資顧問・チーフストラテジストの門司総一郎氏は「米欧の流動性対策は期末を前に金融機関のサドンデスを回避する狙いが強い。それほど金融機関への懸念が高まっているということで、来週はFOMCよりもゴールドマン・サックスの決算発表(サブプライムローン絡みの損失規模とアナウンスメント)に注目している」と指摘。さらに「米住宅ローン会社ソーンバーグ・モーゲージ(TMA.N: 株価, 企業情報, レポート)がモルガン・スタンレー(MS.N: 株価, 企業情報, レポート)からデフォルト通知を受け取るなどの事例が次々と出ており、金融機関やヘッジファンドによる証券化商品の投げ売りが加速するとみる。それが一巡する4─5月ごろまでは株式市場は不安定な動きが続くのではないか」との見通しを示した。

 ドル安/円高の進行も、株安の圧力となった。大和総研によると、2007年以降の日経平均と円/ドルレートは非常に高い連動性をみせており、計測期間(2007年1月4日―08年3月10日)の日経平均の為替感応度を計算すると、1円の円高(円安)に対して日経平均株価は273.88円下落(上昇)するとしている。今後も同様の傾向が続くとは限らないが、これまでのところ円高が株安に直結している。

 新光証券・エクイティストラテジストの瀬川剛氏は「ドル安/円高をにらみ、輸出関連株などが為替リスクを織り込む動きになっている。1ドル=100円台から100円割れも視野に入ってきているが、100円と99円では心理的な影響がまったく違う。100円割れになれば市場インパクトはかなり大きくなるだろう」と指摘。さらに「気にかかるのは対ユーロでの動き。市場ではサブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題を背景に欧州金融機関の証券化商品の売りが話題になったが、今後、もし欧州で金融問題が拡大することがあれば、対ユーロでも円高になる可能性が浮上する」とみている。

 外資系証券の関係者は、原油価格の上昇とドル安に注目し「ドル売りと原油買いをセットにした取引が出ているのではないか。ドル売り/円高の進展は、日本株売りにつながり、日本株は売られやすくなっている」と指摘する。

 他方、別の邦銀関係者は「ヘッジファンドの手仕舞いに振らされる相場が、株でも金利でも目立っている。流動性プレミアムが各商品で生じている」と指摘する。冒頭の邦銀関係者は、外資系証券などのリスク許容量が減ってきており「30年利付国債の流通など海外勢のウエートの大きな商品の流通市場では、流動性がかなり低下している」とし、国債現物と先物についても「海外勢の注文が多い先物と少ない現物の動きにかい離が目立ってきている」と述べる。

 また、先の外資系証券の関係者は「欧米市場の参加者の多くも、問題の焦点は、米金融機関への公的資金注入であるとわかりだしている。ただ、米財務省をはじめ当局は、金融機関への公的資金の注入に極めて冷淡であり、この点が変わらない限り、米株の下落とドル安は止まらないだろう」と述べている。 

 (ロイター日本語ニュース 田巻 一彦;編集 内田慎一)