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ドル先安見通し変わらず、協調資金供給はファンド救済止まりとの見方

[東京 12日 ロイター] 外為市場では、米欧の協調資金供給策でもドルの先安見通しは変わらないとの見方が大勢だ。今回の資金供給は資金繰りに詰まった投資ファンドの救済が狙いで、金融市場でくすぶるサブプライム問題や米景気の不透明感が一気に解消に向かうわけではないとの声が出ている。

 <「ヘアカット」受け各国当局が投資ファンド救済か>

 外為市場では、米欧5カ国の資金供給策は「当局によるファンド救済策でしかない」(在京外銀の為替担当責任者)との声が出ている。表面化しただけでも、5日にロンドン拠点のヘッジファンド、ペロトン・パートナーズが2ファンドを閉鎖、7日には米プライベートエクイティのカーライル・グループ[CYL.UL]傘下のカーライル・キャピタル(CCC)(CARC.AS: 株価, 企業情報, レポート)がデフォルト通知を受け取るなど、投資ファンドが相次ぎ事実上の破たんに追い込まれていたことで、今週に入ってから「(ファンドが金融機関に差し出した証券などの担保価値を切り下げる)『ヘアカット』が相次いでいた」(市場筋)。

 担保の掛け目が切り下がる「ヘアカット」が進めば、ファンドは信用力が低下することとなり、これまでの高レバレッジ運用が見直しを迫られる。さらに「カーライルほどのビッグネームまで(デフォルトを起こす)なら、他のファンドはもっと危ないとみられる」(都銀アナリスト)ことで一段のヘアカットにつながれば、市場ではファンドの手じまい売りが活発化し、相場の値動きは一段と荒くなる。そのため各国当局が「掛け目率の低下が激しい住宅ローン担保証券(RMBS)を持ってくれば米国債と交換してやるという、『飛ばし』に近い処方せん治療」(冒頭の外銀関係者)に打って出たとの見方だ。

 兆候はあった。10日の海外市場では、英ポンド/円<GBPJPY=>やカナダドル/円<CADJPY=>などのクロス円が、ファンドの手じまいと見られる売りに急落。ロイターデータでともに11カ月ぶり安値をつけた。11日の取引ではドル/円<JPY=>は値動きこそ鈍かったものの、大手米銀を経由した買いが「規模は大きくないがずっと出ている。ドル先安見通しだから基本は売りが目立ちやすいはずだが、何かおかしい」(別の外銀)といい、外為市場では各通貨ペアで、最近の値動きと逆の売買が入っていた。そうした売買がファンドのポジション縮小によるものかは不明だが、市場ではファンドの損失計上や破たんが近いなどといったうわさも、根拠がないままくすぶっていた。

 <ドルは目先反発の可能性、100円割れシナリオは後退せず>

 各国中銀の資金供給策を受けてドルは前日海外市場で、8年ぶり円高水準となる101円半ばから103円半ばまで一気に反発したが、12日の東京市場では再び102円後半へ下落。0.75%の米追加利下げを織り込みつつある市場では「当面の危機感は和らぐが、今後発表される米経済指標は悪化の見通しで、金融セクター全体をめぐる問題は終わっていない。ドルが底打ちする次元の話ではない」(バンク・オブ・アメリカの日本チーフエコノミスト兼ストラテジスト、藤井知子氏)として、ドルの先安見通しに変わりはないとの声が複数上がっている。

 資金供給が「短期筋のドル売りポジションを叩き切るだけのサプライズはあった」(別の外銀の円相場担当者)だけに、上昇が勢いづけばドル売りポジションが一段と巻き戻される形でドルがさらに上昇する可能性を指摘する声もある。この日の取引でも売買は目先筋中心にとどまるなど、外為市場は気迷いムードも漂っているが「ファンドが救済されても金融機関の抱える問題も、米景気の不透明感にも変わりはない」(先出の都銀アナリスト)。バンカメの藤井氏はこの日、6月末のドル/円見通しを98円と円高方向に修正した。

 (ロイター日本語ニュース 基太村真司記者 編集 橋本浩)