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ストレステストで7行不合格、審査の厳格性に疑問の声も

[ロンドン/マドリード 23日 ロイター] 欧州の銀行ストレステスト(健全性審査)の結果が23日発表され、審査対象となった91行中7行が不合格となったことが明らかになった。
 アナリストは5─10行が不合格になると予想していた。また、予想通り大手行はすべてテストを通過し、全体的に無難な結果となった。
 不合格行の資本不足は全体で35億ユーロ(45億ドル)となったが、アナリストの間では不足額が300億ユーロを超える恐れがあるとみられており、審査の厳格性に対する疑問が浮上した。
 不合格となったのは、スペインの中小銀行5行に加え、ドイツの国営不動産金融ヒポ・レアル・エステート[HRXGF.UL]、ギリシャ農業銀行<AGBr.AT>の計7行。
 このうちスペインについて、同国中銀は、追加資本が18億ユーロ必要になるとの見方を示した。
 アレン・アンド・オーベリーのリチャード・クランフィールド氏は「問題はテスト自体にあると言えるだろう。審査が一貫して実施されたことを示す証拠はほとんどなく、明らかに信ぴょう性の欠如がある」と述べた。
 テストの策定・実施に関わった欧州銀行監督者委員会(CEBS)はこれまで、欧州のストレステストは米国で実施されたものよりも一段と厳しい内容と述べている。
 結果発表後の市場の反応は限られた。最近発表された経済データが欧州経済の回復の勢いを示すなか、銀行を取り巻く状況が今後予想以上に改善するとの見方が背景にある。
 ストレステストの内容に対する一部懐疑的な見方からユーロ/ドルは下落。また、ネガティブサプライズがなかったことから独連邦債先物は値下がりした。
 三菱東京UFJ銀行(ニューヨーク)の首席フィナンシャルエコノミスト、クリス・ラプキー氏は、「欧州ストレステストの透明性や前年米国で実施されたテストに匹敵するものであるかといった問題が指摘されたが、今回のテストによってユーロ圏諸国に対する懸念は過去のものになっていくと思う」とし、「週明けの市場では当座の反応としてある程度の失望感からやや売りが出る可能性はあるものの、速やかに収束していくだろう」との見方を示した。
 欧州銀行システムの弱点として、これまでスペインの貯蓄銀行(カハ)やドイツの州立銀行(ランデスバンク)が注目されてきた。両国政府は健全性で劣る銀行の資本強化に向けすでに支援基金を設立している。
 ストレステストで不合格となったスペインの銀行は、バンカ・シビカ、ディアダ、エスピーガ、UNNIM、カハスール。最悪のシナリオには、2011─11年にスペインの住宅価格が28%下落するなどの想定が盛り込まれた。
 こうしたなか、中核的自己資本(Tier1)要件をかろうじて満たし、不合格を逃れたのはドイツ・ポストバンク<DPBGn.DE>、ギリシャのピレウス銀行<BOPr.AT>、アライド・アイリッシュ・バンクス<ALBK.I>、イタリアのUBIバンカ<UBI.MI>、スペインのバンキンテル<BKT.MC>。
 前出のクランフィールド氏は「ストレステストをぎりぎりで通過した銀行は、より多くの困難に直面する可能性があり、市場の関心を集めるかもしれない」とした。


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