フレディマック、106億ドルの公的資金求める
米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)は、2010年第1四半期に67億ドル(約6290億円)の損失を計上したと発表するとともに、住宅市場の不振でバランスシートの穴が広がり続けているため米財務省から106億ドルの資金注入を受ける必要があると明らかにした。
前年同期は98億ドルの損失だった。同社は損失の主たる部分は、今年1月1日に実施され、1兆5000億ドルのローン保証をバランスシートに計上することになった会計上の変更によるものだとしている。
フレディマックとその姉妹会社である連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)は2008年、保全管理として知られる法的プロセスを通じて政府管理下に置かれた。政府は、今後3年間両社の破綻を回避するため無制限に公的資金を注入するとしている。フレディマックの新たな要請で、両社への注入額は1362億ドルとなる。
フレディマックは過去11四半期のうち10四半期で赤字を出している。赤字の合計額820億ドルはそれ以前の30年間の利益のほぼ2倍に達している。
ただ、もっと経済が安定すれば赤字が止まることを示すいくつかの兆しが見えている。90日以上の延滞となっているローンの割合は3月末に4.13%と、前月末の4.20%を下回った。月間ベースで低下したのはほぼ3年ぶりのことだ。
ハルデマン最高経営責任者(CEO)は声明で、「さらなる対応が必要だが、住宅価格、一部主要地域での販売などで住宅市場安定化のいくつかの兆しが見える」と述べた。
一方、共和党は両社に対する政府の保全管理を2年以内にやめさせて、破産からの再建の形である管財人管理下に置くための措置を、金融規制改革法案への修正案として提案した。提案したのはジョン・マケイン上院議員(アリゾナ州)で、これが実現すると、両社の持つローンは3年間で大幅に減少することになる。また、高コストの市場で両社が大型ローンを購入できる上限の拡大を取り消し、両社が買えるローンの頭金基準も新たに設定されることになる。
共和党は、金融規制改革法案には住宅市場崩壊の主たる原因の一つに対処する内容が含まれていないと主張。これに対してオバマ政権は、住宅市場がもっと落ち着いたところで来年両社を個別に取り扱った方がいいとの考えだ。
フェデラル・ファイナンシャル・アナリティクスのアナリスト、カレン・ショー・ペトロー氏は、金融規制改革法案は「既にひどく複雑だ」とし、「ファニーとフレディーが根本的な解決を必要としていることは確実だが、市場はあまりにも脆弱(ぜいじゃく)だから、本当に注意深くならなければならない」と述べている。