米ワシントン・ミューチュアル、複数の買い手候補と交渉進める

［フィラデルフィア　２３日　ロイター］　米貯蓄金融機関大手ワシントン・ミューチュアル(WM.N: 株価, 企業情報, レポート)は、複数の買い手候補との間で身売り交渉を進めているほか、資本増強についても検討している。関係筋が２３日、明らかにした。

　米監督機関はワシントン・ミューチュアルが交渉を成立させることを望んでいるが、関係筋によると、同社が買収提案を受け入れるまたは分離して複数の買い手に身売りすることなどについて期限や要件は設定されていない。

　同筋によると、一部の買い手は、米政府が７０００億ドルの金融安定化策の一環として、ワシントン・ミューチュアルのモーゲージ関連債務を買い取ることを期待している。同社の帳簿から不良債権を取り除けば、より広範な買い手にとって一段と魅力的な取引となるとみられている。

　ある関係筋は、ワシントン・ミューチュアルは「早期の」買収提案を望んでいるが、期限は設定されていないとした上で、同社は金融安定化策の議会承認を待ってはいないと述べた。

　関係筋によると、カナダのトロント・ドミニオン銀行（ＴＤ）(TD.TO: 株価, 企業情報, レポート)がワシントン・ミューチュアルの全てまたは一部の買収を検討しているという。

　ＴＤ銀行は他の買い手と連合を組んで買収提案を行う可能性があるほか、他の買い手が買収を成功させた場合に売却される資産または支店の取得を狙う可能性があるという。

　関係筋によると、このほかワシントン・ミューチュアルの買収を検討しているのはスペインのサンタンデール銀行(SAN.MC: 株価, 企業情報, レポート)、シティグループ(C.N: 株価, 企業情報, レポート)、ＪＰモルガン・チェース(JPM.N: 株価, 企業情報, レポート)など。

　また、ＨＳＢＣホールディングス(HSBA.L: 株価, 企業情報, レポート)やウェルズ・ファーゴ(WFC.N: 株価, 企業情報, レポート)も資産状況を調査しているという。

　ワシントン・ミューチュアル、シティグループ、ＪＰモルガン、ＴＤ銀行、ウェルズ・ファーゴはそれぞれ、買収交渉に関してコメントを控えた。サンタンデール銀行とＨＳＢＣからは現時点でコメントが得られていない。