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信用危機、米政府による大規模な救済策は不可避の可能性

[ワシントン 25日 ロイター] 米国政府は、低迷する国内住宅市場と金融市場への救済策を求める声を拒否する姿勢を示しているが、今後、政府に対しては、すでに実施されているもの以上の包括的な救済案を求める圧力が一段と強まると見られている。

 アナリストや政治家からは、不動産価格が再び適正に評価されるためには、ローン債権の買い入れや再編、売却など、政府が大胆な対策を打ち出すべきだ、との声が出ている。こうした対策の実現性は、数週間前と比べ格段に高くなっている。

 ローン返済遅延や住宅差し押さえの急増など、現在の信用危機の根本原因に対する策が取られていないとして、政府は追加対策を講じるべきだとの指摘が多い。問題の中心にあるものに切り込まない限り、金融システムが危機にさされたままとなる、という。

 リベラル系シンクタンクのセンター・フォー・アメリカン・プログレスのアンドリュー・ジャカボビクス氏は「これまでに取られた措置は、金融市場が崩壊しないようにするために必要だったが、根本問題への対策にはなっていない」と指摘。「金融機関は、モーゲージ投資で価格が額面以上に上昇したと認識した時に初めて安堵の息がつける」と述べている。

 ブッシュ政権と連邦準備理事会(FRB)は、悪い投資判断を下した投資家を一斉に救済する可能性を否定しているものの、納税者は実際にはすでに数十億ドルというモーゲージ関連のリスクに晒されている。

 これは大企業優遇を意味し、ローン返済ができない普通の消費者は住宅を失う可能性に直面しており、不公平との批判が一部から出ている。

 FRBはすでに金融市場に最大4000億ドル規模の資金を供給することを約束しているほか、大恐慌以来初めて、投資銀行向けの緊急融資枠を設定した。

 また監督当局が、連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)(FNM.N: 株価, 企業情報, レポート)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)(FRE.N: 株価, 企業情報, レポート)のほか連邦住宅貸付銀行 (FHLB)など政府系住宅金融機関に対し、最大3500億ドルのローン債権買い入れを要請している。政府の保証を受けているため、経営危機に陥れば政府はこれらの政府系機関を救済するとの見方が多い。

 <措置は小規模か大規模か>

  政府の対策はより強力かつ迅速に行う必要があることは数字を見れば明らかだ。現在の信用危機が始まって以来、住宅投資で2000億ドル近くの損失が計上されたが、エコノミストはこれは予想評価損総額の半分と見ている。一方住宅価格の下落が続き、ローン破たんも急増している。

 中立系のシンクタンクであるブルッキングス研究所の特別研究員で元FRB高官のダグラス・エレメンドーフ氏は「住宅価格の下落が続き、今後1年半は油断できない状況が続くだろう。政府には何かすべきだとする圧力が強まる」としている。

 民主党の議員からは、住宅ローンの政府保証機関である連邦住宅局(FHA)の役割拡大を求める声が出ている。

 下院金融委員会のバーニー・フランク委員長はFHAに対し、貸し手が債権の一部を帳消しにすることを条件に、最大3000億ドルの融資保証が出来るようにすることを提案している。

 大統領選候補者候補の1人ヒラリー・クリントン上院議員は24日、返済に問題を抱えたローンの借り手救済のためFHAに対し「準備を整える」よう要請した。ただ、政策立案者は、将来の、より大きなコストを回避するために現在どの程度の資金投入が無理のない妥当なものなのかという問題に直面している。

 <前払いか後払いか>

 90年代初めに終息した貯蓄貸付機関(S&L)の経営破たん問題で政府は1250億ドルの資金を投入した。誤った投資の救済のようなことを回避する理由として、ブッシュ政権はこのS&L問題の事例を挙げている。

 大恐慌時代に政府はローン買い入れ連邦機関に対し2億ドルを融資した。これは国内総生産(GDP)比で換算すると現在の460億ドルに相当する。

 保守系のシンクタンク、アメリカン・エンタープライズ・インスティテュートのアレックス・ポロック氏は、このような救済計画では負担を前払いするほうが割に合うと指摘する。同氏によると、当時、救済策の進展で財政収支は小幅ながら黒字になったという。