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ドル下値模索、米信用不安増大で100円割れも

[東京 7日 ロイター] 来週の外為市場は、米不良債権問題に端を発した信用不安の増大に敏感な反応を示す展開が続き、ドルは下値模索になりそうだ。100円割れも照準に入ってきたが、このところの急ピッチのドル安で、投機筋のドル売り持ちは累積しており、米信用不安の悪化が市場の想定内であれば、一気に100円割れはしないとの見方もある。

 今週、対ドルで1.54ドル台の史上最高値を更新したユーロについては、引き続き底堅い展開を予想する市場参加者が多い。足元で米国の利下げ観測の高まりと共に、欧米の期待金利差は拡大しており、ユーロ/ドル相場も金利差拡大の思惑に沿って上昇する見通しだ。 欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁はインフレに対してタカ派的なトーンを維持しており、これもユーロの支援材料となるだろう。

 予想レンジはドル/円が100.50―104.00円、ユーロ/ドルが1.525―1.560ドル。

 来週は、11日に3月の独ZEW現況指数、景気期待指数、1月米貿易収支、3月9日までの週のABC/WP消費者信頼感指数、12日に1月ユーロ圏鉱工業生産、米住宅ローン指数、13日に2月の米輸出入物価、3月8日までの週の米新規失業保険申請件数、2月の米小売売上高、14日に2月の独及びユーロ圏2月CPI改定値、米2月のCPI,米3月ミシガン大消費者信頼感指数などが発表される。

 <不良債権問題の悪化で信用不安高まる> 

 米国では住宅ローン会社の債務不履行などが信用不安の増大につながっている。

 「ジャンボ・ローン」と呼ばれる住宅金融公社の買取対象にならない大きな金額のローンを取り扱う米住宅ローン会社ソーンバーグ・モーゲージ(TMA.N: 株価, 企業情報, レポート)は、6日、追加担保差し入れ要求に対応できず債務不履行通知を受けたことを明らかにした。 さらに、米プライベートエクイティ、カーライル・グループ系のカーライル・キャピタル・コーポレーションも追加担保差し入れを履行できず債務不履行を通知されている。

 みずほ総合研究所・経済調査部・シニアエコノミストの吉田健一郎氏は「住宅ローン会社のデフォルトやヘッジファンドの破綻など、周りを見渡すと、ドル売り材料に事欠かない状況だ。現時点ではドル買い戻しのセンチメントは醸成されづらい。市場はドル安リスクを強く意識しつつ、米経済指標や信用不安の増大に敏感な展開が続くと予想される」と語る。

 「現在のドル安は、米国の金融システミック・リスクに対する懸念を反映している。モノライン(金融保証会社)については、倒産など、市場が現在想定しているよりもいっそう悪いニュースが出てくる可能性がある」とクレディ・スイス証券・経済調査部・ヴァイスプレジデントの小笠原悟氏は語る。

 ドルは2002年から始まった下落局面で円以外の通貨に対しては約25%下落した。「出遅れていた円が他の通貨にキャッチアップするとすれば、あと5、6%の上昇が見込まれる。つまり97―98円が目先の目処だろう」と小笠原氏は言う。ただし、市場はオーバーシュートするものであり、米システミック・リスクが予想を上回るものであれば、さらにドルが下落する余地がある。

 米金融機関の不良債権問題に端を発した信用市場における緊張は続いており、米金融機関の信用力のバロメーターである金利スワップ・スプレッドは、クレジットクランチのピークとされた昨年12月の水準を上回って拡大している。 2年物のスワップ・スプレッドは7日、110.50ベーシスポイント(bp)まで拡大し、昨年12月11日につけた106.50bpを上回った。 

 「スワップスプレッドの拡大は米金融機関の信用力の低下を意味しており、今後クレジットクランチが悪化すれば、非金融セクターへの悪影響も回避できない」(外銀)という。

  <米国はインフレ懸念のなか、再度緊急利下げの思惑も> 

 為替市場では、一部の海外報道をもとに、FRB(米連邦準備理事会)が緊急利下げに踏み切るとの憶測も聞かれる。緊急利下げがない場合でも、市場は3月18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75%の利下げも織り込み始めた。

 「米景気後退に陥る可能性に対する懸念の段階から、(景気後退が)どれほどの規模と深刻さ、期間になるかが議論される段階に移りつつある」 とエコノミスト・岡田靖氏は語る。

 他方、資源価格の騰勢がとまらず、原油価格(WTI)は100ドル超えの水準で推移。すべての財・サービスを対象にした米ヘッドラインCPI(消費者物価)の前年比上昇率は、2008年1月時点で4.3%に達している。食料とエネルギーを除くコア・インフレ率は前年比で2.5%にとどまっているが、このまま資源価格が高止まりすれば、コアインフレ率も早晩上昇に向かうことが予想される。

 米国は「景気後退圧力と資源価格上昇によるインフレ圧力の両方に対応しなければならないジレンマを抱える」と岡田氏はいう。

<ユーロは堅調、ユーロ高けん制に足並みそろわず>

 ECBは6日の理事会で、主要政策金利である定例買いオペ最低応札金利を4.0%に据え置いた。理事会後の記者会見でトリシェ総裁が「経済ファンダメンタルズは健全、インフレ期待の抑制が最優先課題」と述べ、タカ派的なスタンスを維持したことで、ユーロは一段高となった。

 ユーロ高に対する姿勢はユーロ圏でもまちまちだ。

 「ユーロ圏の財務相会合での各国の発言をみても、けん制発言がある一方で、ユーロ高は堅調な経済の証とする容認派もいるのが現状だ」とみずほ総合研究所の吉田氏は語る。

 ロイターがエコノミスト64人を対象に実施した調査によると、ECBは次回4月の理事会では利下げを見送る見通しだが、年内に2度政策金利を引き下げると予想されている。

 調査では、来月の利下げ予想はゼロだった。ただ、大半は、ECBが6月末までに一度利下げし、9月までに再度利下げし、政策金利は年央までに3.5%になると予想する。  

 (ロイター日本語ニュース 森佳子)