還暦親父の暇つぶし

アーリーリタイアー夢実現すべくマレーシア移住、マレー株式投資、仮想通貨投資家などで外こもり中から帰国

米株価急落、金融機関損失のドミノ現象 FRB行き詰まり

【ロサンゼルス=渡辺浩生】29日の米株式市場でダウ工業株30種平均が今年2番目の下げ幅を記録した。低所得者向け高金利型住宅ローン(サププライムローン)問題の深刻化で金融機関の損失が膨らむ一方、リセッション(景気後退)の瀬戸際にある米経済が一段と追い込まれているからだ。株安に伴い円高ドル安が進行し、インフレ圧力も高まっている。不況下で物価が上昇する「スタグフレーション」を懸念する声すら上っている。

 ダウは前日終値比315.79ドル安の1万2266.39ドルで取引を終えた。引き金は、米保険最大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)がサブプライムローンにからみ111億ドルに上る巨額の評価損を計上したためだ。

 バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が前日に、小規模な金融機関の破綻(はたん)が「おそらくある」と発言したことも尾を引いた。金融不安の新たな震源地、金融保証専門会社(モノライン)の支援について、ニューヨーク州保険局が資本増強案を検討中だが、遅々として進んでいない。

 サブプライムによる金融機関の損失表面化は「ドミノ現象」(米紙ウォールストリート・ジャーナル)のように拡大。経営難の金融機関は、投資ファンドや企業・個人に対する資金供給の蛇口を絞り始めている。この信用収縮が米景気を失速寸前に追い込んでいる。

 一方、株価急落に伴い、ニューヨーク外国為替市場では3年ぶりに円相場が1ドル=103円代後半をつけた。原油価格など商品相場高騰にも波及、金の先物相場も最高値を更新。ドル安は輸入価格の上昇を通じてインフレ圧力も高めている。

 米政府による緊急経済対策の効果が働くのは年後半。FRBは昨年9月以来、連続5回計2.25%の利下げを行ったが、今後は一段と物価への警戒が必要になってくる。

 実際、29日に発表された1月の個人消費支出(PCE)のコア指数(食料とエネルギーを除く)は前年同月比2・2%上昇となり、FRBが望ましいとする上限の約2%を上回りつつある。

 米政府もFRBも、公的資金投入は必要ないとするが、「金融危機の真っただ中」(米エコノミスト)に、サブプライムの悪循環を遮断する手は限られてきている。